よどがわ 映画とか

映画の感想がおおいです

レッドスパロー 国家による個人の抑圧、暴力の邪悪さ

 レッドスパローを見てきましたので感想。

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  レッドスパローでは拷問シーンは吐き気すら催すほどに生々しく痛さを感じるものであるし、国家のスパイとして育てられるシーンでは徹底的に彼女たちは尊厳を踏みにじられる。

 暴力やスパイは映画ではよくエキサイティングに、華々しく描かれるが、今作では個人を踏みにじる以外の意味はなく、邪悪なものになっている。

 

 ジェニファー・ローレンスが演じるドミニカは夢を断たれたバレリーナというだけで普通の女性である。スパイの養成学校で人の操り方、相手が望むことを推測する能力、セックスについて叩き込まれるものの、作中では超人さをみせつけるキャラクターではない。

 彼女の作中での行動は時折「間違い」を犯すが、弱さこそが武器であるので彼女がどのような意図をもってそういう行動をとっているのか、今のは失敗なのか意図したものなのかはっきりせず飽きさせない。

 展開が二転三転するため複雑すぎて追うのが面倒になってくるのは難だが、最終的に話がつながるところは爽快だった。

 暴力の痛々しさと個人を殺して国家のために奉仕する人間の尊厳が踏みにじられていることが女性スパイを通して描かれていたのはユニークなんじゃないかと思う。話がややこしいところもあるので何度か見た方がいい気もするが、凄惨さがものすごいのでエネルギーを充電してからまたいつか見ようかと思う。

 

 

レッド・スパロー(上)

レッド・スパロー(上)